拙作、上場企業サーチ.comでは上場企業の平均年収を「上場企業年収ランキング」として日々集計・更新しています。
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平均年収上位にはM&A関連企業が多数登場
数年前までは長い間、キーエンスがトップを継続しており、全体でみると中堅に位置する製造業(電気機器業)に属する企業がトップということでかなり注目されていましたが、現在は3位になっています。
キーエンスに代わり1位となったのがM&Aアドバイザリー業務を手掛けるGCA株式会社、続く2位もやはりM&Aアドバイザリー業務のM&Aキャピタルパートナーズ株式会社、更にはキーエンスを挟んで4位に位置する株式会社ストライクもまたM&A関連企業となっており、如何にM&A市場が活発でハイスペックな人材を集めているのかが想像できます。
M&A関連ビジネスの中でも特にFAと呼ばれるアドバイザー業務は、買収価格の一定率という形で報酬を得る成功報酬契約を結ぶことが多く、大型の案件が纏まると巨額の報酬を手にすることが出来る構図となっています。
M&A業界は年収もさることながら平均年収が低いことも特徴的です。
1位のGCA株式会社はなんと平均年齢37.2歳で平均年収2,139万円となっており、 2位のM&Aキャピタルパートナーズ株式会社も平均年齢31.1歳で平均年収1,905万円という数字をたたき出しています。
M&Aの当事会社にとっては統合日であるDay1からが本当の意味でのスタートですが、 M&AアドバイザーであるFAは、Day1以前に置かれるクロージング日までが仕事ですのでモチベーションを維持する時間軸が決定的に違います。 日本企業のM&Aの成功率は10%~50%程度と言われたりしますが、、、この辺語り出すと長くなるのでまた今度にすることにします。
平均年収のデータソース
上場企業の平均年収は有価証券報告書を見れば記載されています。
有価証券報告書というのは、金融商品取引法が有価証券の発行者に対して提出を要求しているもので、決算ごとに年1回の有価証券報告書と四半期ごと年3回の四半期報告書のことを指します。 四半期報告書と有価証券報告書は情報量が大きく異なっており、平均年収の開示が求められているのは有価証券報告書だけですので、企業の平均年収は年1回の頻度で更新された情報が開示されます。
有価証券報告書を入手したければ、各社のホームページのIRコーナーか、Edinetからダウンロードすることが出来ます。
ちなみに、たまに誤解されている方がいますが、この平均年収というのは、あくまでも上場企業本体の従業員に関しての平均年収で、企業グループの平均年収ではありません。
特に昨今では、少数精鋭が所属する持株会社(~ホールディング、~ホールディングスというのは基本的に持株会社です)を上場させ、多数の従業員が所属する事業会社はその子会社であることも多く、実は有価証券報告書の平均年収は実体を表していないことも多々ありますのでその点は注意が必要です。
大企業やそのグループ会社についての年収情報を得たいのであれば、Vorkersなどの民間の口コミサイトの方がより真実に近い数字を持っているように思います。
有価証券報告書に一言モノ申す
私は一年中有価証券報告書と格闘している人間の一人だと思いますが、実は有価証券報告書には結構誤植があります。
確かに有価証券報告書はいわゆる財務諸表部分を除くと会計監査人(監査法人等)の監査範囲外ですし、こと電子開示されるXBRLについては全体が監査範囲外ではありますが、年に両手に届くぐらい、余りにも単純なミスが含まれていることがあります。
例えば、どこの会社かは伏せますが、次のような情報がEdinetを通じて実際に開示されています。
平均年収62億円って、、、あらゆる手段を尽くして1年だけ入社したいです。
また、次のような会社もあります。
こちらは持株会社ですので、事業会社と兼務で別の給料が支払われている可能性もゼロではないですが、年収36万円では私はやっていけません。
といった感じで、今回は平均年収の箇所だけの「一言」でしたが、他の開示箇所でもたまにこの種のケアレスミス(?)を目にします。
企業内で開示業務に関わっている方々は、非常にタイトなスケジュールの中で昼夜奮闘されていることと推察しますが、 利用者の意思決定に資する価値ある情報を提供するため、最後の通しチェックを行っていただくよう、何卒宜しくお願い致します。